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大津地方裁判所 昭和58年(ワ)66号 判決

主文

本件訴を却下する。

訴訟費用は原告の負担とする。

理由

本件訴の請求の趣旨ならびに原因は別紙のとおりである。

本件記録によれば、原告は大津簡易裁判所に対して本件差押債権につき支払命令を申立て(同裁判所昭和五八年(ロ)第一一七号)、同年二月一二日に支払命令を得たが、同月二二日に被告より同命令に対する異議申立がなされ、当裁判所に訴の提起があつたものとみなされたものであることが明らかである。

思うに、普通地方公共団体が支払命令の申立をした場合には、地方自治法九六条一項一一号に支払命令申立につき何ら定めるところがないので、同法による議会の議決を要しないけれども、支払命令に対し適法な異議の申立がなされた場合には民訴法四四二条により訴の提起があつたものとみなされる結果、地方自治法九六条所定の議会の議決を要するに至つたものと解するのが相当である。

そこで、当裁判所は原告に対し昭和五八年四月一五日到達の補正命令をもつて一四日以内に地方自治法九六条所定の議会議決に関する文書を提出することを命じた(議決を得ることを命ずるのでなく、専決処分をも含めて文書提出を命じた)が、原告は右期間内に右議決に関する文書の提出をしない。したがつて、同法所定の議会議決がなされたことを認めるに足りる証拠がない。

よつて、民訴法二〇二条により本件訴を却下し、訴訟費用の負担につき同法八九条を適用して主文のとおり判決する。

請求の趣旨

被告は原告に対し、金一五〇万九三〇〇円及びこれに対する昭和五五年一一月一日から同月三〇日まで年七・三パーセントの割合による、同年一二月一日から支払ずみまで年一四・六パーセントの割合による各金員を支払え。

訴訟費用は被告の負担とする。

との判決並びに仮執行の宣言を求める。

請求の原因

一、 訴外清水久雄は、原告に対して納税すべき昭和五五年度分の市県民税(納期限同年一〇月三一日)一五〇万九三〇〇円を滞納している。

二、 右訴外清水は被告に対し、履行期限の定めのない貸金債権二八三〇万七八〇〇円を有している。

三、 原告は昭和五七年三月一七日第一項記載の滞納税及びこれに対する延滞金徴収のため地方税法四一条一項、三三一条六項及び国税徴収法六二条の規定に基づき被告に対し、前記訴外清水が被告に対して有する第二項記載の貸金債権を履行期限を同月二三日と指定し、右期限までに支払うよう求めるとともに、同月一九日右債権を差押える旨の債権差押通知書を送達した。

四、 ところが、被告は現在に至るも右支払をしないので、原告は被告に対し第一項記載の市県民税相当金一五〇万九三〇〇円及びこれに対する納期限の翌日である昭和五五年一一月一日から同月三〇日まで地方税法四一条、三二六条一項一号所定の年七・三パーセントの割合による、同年一二月一日から支払ずみまで右同条所定の年一四・六パーセントの割合による各延滞金の支払を求める。

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